発酵熟成させたイベリコ豚にCASSビール
【돝고기506/トッコギ506】韓国・ソウル
「506時間の発酵熟成と51の工程を経たプレミアム豚肉専門店」で、しかも素材はスペイン産イベリコ豚だなんて、「これはぜひともお味見を」と興味しんしんで出かけた。
8年ぶりのソウル、今回はおシゴトなので、朝からほぼ缶詰状態で打合せをして、日が暮れてようやく自由時間となった。一緒に行ったのは、韓国ツウで著書もある、あんそらさんと同じく韓国に詳しいトモコさん、そして東京から参加したケイコさん。女性4人は、終了と同時に待ってましたとばかりに街に繰り出す。頭を使ったあとは肉よね、といつもながら勝手な理由をつけて、トモコさんが現地のグルメな人に教わった店へ向かう。
地下鉄2号線・駅三(ヨクサム)駅の近く、細い路地の坂を上がった場所にその店はあった。いま注目の店というだけあっていつも行列ができるそうだが、たまたま人が少なくて待つこと数分で店に入れた。ショーケースには発酵熟成させた肉のかたまりがずらりと並び、肉を焼く熱気と賑やかなお客さんの声が満ちていて、自然にテンションが上がる。
506時間発酵熟成サムギョプサル(豚バラ肉、三枚肉)とモクサル(首回りの肉)は、かたまりで供され、店員さんが目の前で切り分け、焼いてくれる。鉄板いっぱいに並んだ肉が焼けていくのを見ながら小皿料理をつまんで、韓国の代表的なビールのひとつCASSをぐいっといく。小皿料理は、辛いもの、酸っぱいもの、あっさり塩味と様々な味で、いろいろな野菜を食べることができるのだ。
こんがり焼けた肉は思いのほかあっさりしている。サムギョプサルはテンジャン(味噌)を付けてネギサラダと一緒に野菜に巻いて豪快に。モクサルは塩とワサビであっさりと。瓶ビールは次々に空き、お店の人が数え忘れて「何本飲みましたか?」とたずねてくる始末。そこは正直に申告して、韓国の焼酎チャミスルにチェンジ!ふわっと甘い。これは甘党のケイコさんがほとんど飲んだ。
となりの青年たちのところに運ばれてきたピザのような食べものはなんだろう。韓国語ができる、あんそらさんが青年にたずねてくれた。満腹だったけれどあまりにも美味しそうなので、同じもの(クリームポックンパプ)を注文してみる。鉄板の上に薄くごはんが敷かれて、その上にチーズがのっている。バーナーで炙ってこんがり焼けたチーズはとろとろで、ニンニクの風味がなんともいえず4人で完食。大満足の夕食だったけれど、次に来る機会があれば、今回売切れだった806時間熟成のサムギョプサルをお味見したいな。
4日間の滞在で、韓定食、焼き肉、参鶏湯と韓国料理を堪能。毎夜、いろんな野菜をたっぷり食べ、加えて発酵食のキムチを欠かさなかったせいか、すこぶるお肌の調子が良い。もちろん毎夜、免税店で買った高級シートパックも欠かさなかったけれど。
◆ Data
돝고기506/トッコギ506
ソウル特別市江南区駅三路17キル53
53 Yeoksam-ro 17-gil, Gangnam-gu,Seoul
◆ Writing / 松田きこ
(株)ウエストプラン代表。兵庫県西宮市在住。食・観光・人物取材に日本中を飛び回る。ライター歴20年以上。編著書「神戸・阪神間 おいしい酒場」「くるり西宮・芦屋・東灘・灘」「くるり丹波・篠山」他
http://www.west-plan.com/